募金に関して
2011年04月26日 21:52
作者:尚文産商堂
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何もないところから

こんにちは、尚文産商堂です。「小説家になろう」のトップページより拝見したので、投稿させていただきます。同じ作品は、なろうにも投稿する予定ですが、お好きに使っていただいて結構です。 がんばろう日本!

教科書をテーブルの上に置いて、僕はお父さんと向かい合っている。
外では、風鈴と蝉の声が、絶妙なハーモニーを奏でている。
「それって、ほんとなの?」
僕は、お父さんに聞いた。
「今は、そう言われているね。何もないところから、何かは生まれない。でも、何かから何かは生みせれるんだ」
「何かって?」
「何か、だよ。本当の意味で、何か。人類が思いもよらないような何か」
その瞬間に分かった。
その何かを探すのが、僕の生きていく意味なんだと。
もうずいぶん昔の話だ。

大人になり、その何かを探す旅に出た。
本当に、何もないところから、何も生み出せれないのか。
人類が思いもよらないような何か、それはいったい何なのか。
南極にも行った。アフリカの奥地にも、アマゾンの源流も行った。
アメリカの科学研究所や、ヨーロッパにある素粒子の加速器も見に行った。
でも、なにも分からなかった。

失意のままに帰ってきた日本で、僕はある物を見つけた。
家の屋根裏部屋に隠されていた、かなり昔に撮られた写真だ。
写真の裏には、かすれた字で昭和20とだけ読める。
一面焼け野原で、1つだけ咲いた花を撮った写真だ。
「そうか…」
僕は、その時、唐突に理解をした。
何もないところから、何かを作れる。
それは、戦災でも震災でも。
そこに人がいる限り、何度でも無から作り直すことができるんだ。
それが分かった途端、僕は家から駆けだした。
素足なのも、周りの目も気にすることなく、ただ走った。
この喜びを誰かと分かち合うために。
そして、このことを、みんなに教えるために。