募金に関して
2011年05月11日 01:10
作者:皆麻 兎
削除
削除パスワード

誰かを助ける理由

はじめまして。皆麻 兎と申します。この度は「小説家になろう」から当サイトを知り、微力ながら何かできれば…と思って書きました。これを読んで、何か感じて戴ければ幸いです。また、同人誌への掲載も全然大丈夫ですので、よろしくお願い致します。

 震災が起きた日の夜――――――――私立中学に通う少女・保奈美は、両親に学校まで迎えに来てもらい、車で帰宅をしていた。
通学で利用していた電車は完全に止まり、大通りにはたくさんの車が占めていた。その混雑具合は、まるで帰省ラッシュ時に起こる高速道路の混雑模様のようである。
保奈美が乗った車は、途中で停電区域を通る。そして、彼女達が向かう方向の反対車線から、救援物資を運送する市のトラックとすれ違ったのである。

「救援物資…!えっ…これってマジ!!?」
渋滞によって動きが遅い車。
私はそんな自分の家の車から、この救援物資を運ぶトラックと見つめていた。
「そうか。この辺りは停電区域が多いから…。きっと、避難先である小学校とかに届けられているのかもね…!」
「…そうなの?」
車を運転してくれている私の父が、ハンドルを握りながらしきりに教えてくれた。
「…っていうか、S市だけじゃなくて、F市やM市の救援物資乗せたトラックもいる…!…なんだか、物凄い圧巻だね…!」
「おお、本当だ!!地震が起きたのは昼間だけど、対応早いね!!」
「うん…!なんていうか、まるで夢を見ているみたいだよね…」
私は、ボソッと呟く。
停電区域であるこの辺りを照らすのは、走っている車にあるライトのみ。それがなければ、真の暗闇ともいえる中で歩いている人たちを見ながら私はボーッとしていたのである。


 この日は渋滞に見舞われながらも、22時頃に自宅に到着し、どうなるかわからない中で眠りについた。そしてこの日、保奈美は一つの夢を見たのである。その夢は、最初は暗い事だったけれど、それを見て私はいろんな事を考えさせられたのである。

ガタガタガタ
夢の中で、私は暗い倉庫のような場所に閉じ込められていた。どうやら誘拐事件に巻き込まれたらしく、しかも警察が手を出しにくい状態だったようだ。そのためか、私は全身に鳥肌が立ちながら震えていた。
 どうしよう…。私、殺されちゃうの…?
心の中でそう叫んでいた。泣きそうなくらい目が潤み、吐き気も感じていた。しかし、時間が過ぎるのはあまりにも遅い。そんな過酷な状況であった。

「なんだ、貴様は!!?」
倉庫の外から今のような台詞が届いた直後、乱闘騒ぎが起こったらしく、激しくぶつかり合う音が響いていた。
そして私は、その少し後に助け出されたのである。

私を助けてくれた男性は、最初は警察かと思ったが、実際は違った。しかも、自分に縁のある人物というわけでもない。それでも、彼は私を助けるために、犯人グループに立ち向かったというのは事実である。
「どうして、警察官でもないのに、私の事を助けてくれたの?」
監禁場所からしばらく離れた後、私はふとその男性に尋ねる。
まるで、漫画のような展開に驚きを隠せない保奈美。そして、なぜ身体をはってまで自分を助けてくれたのかがどうしても疑問なのであった。
「…誰かを助けるのに、理由なんているのかな?」
「えっ…?」
男性は、穏やかな表情でそう述べる。
その時、その言葉の意味があまり理解できなかった私は、不思議そうな表情をしながら首をかしげる。
その後、夢はまだ続いていたのだろうが、少し曖昧なため、忘れてしまったのだろうと思われる。


 なぜ、地震に遭った日にこんな夢を見たのだろうか―――――――――――――理由こそわからないが、この「誰かを助けるのに理由が必要なのか」という発言に、いろんな事を考えさせられた保奈美であった。
そして震災から数日が経過し、保奈美はテレビ局や金融機関などで実施されている募金やボランティアなどに対し、積極的に参加をした。それは、「誰かを助けるのに理由などなくても、“助けたい”という気持ちがあれば十分である」という事を教えてくれた、夢の中の男性の一言から考えた、彼女の答えなのであった―――――――――――――